10.低血糖と運転免許
低血糖と運転免許
 現在、道路交通法により、「無自覚低血糖」を起す患者さんは、その症状によっては運転免許が持てない場合があるのをご存知ですか?

 1、無自覚低血糖ってなに?
動悸・冷や汗・手足の振るえ・頭痛など  通常、低血糖を起こすと、動悸・冷や汗・手足の振るえ・頭痛などの、いわゆる「低血糖症状」がでます。 しかし低血糖を頻繁に起こしている方や、合併症により自律神経障害を起こしている方などは、低血糖症状を自覚することができず、 とつぜん昏睡に陥ってしまうケースがあります。
無自覚低血糖 これを「無自覚低血糖」と呼びます。
特に、車の運転時に「無自覚低血糖」を起してしまうと、重大な事故につながる危険性があります。
実際に、重大な人身事故を起してしまったケースも、しばしば伝えられています。


 2、低血糖を起こしたことがあると、車の運転ができないの?
車の運転  糖尿病の患者さんが、インスリンや内服薬で治療を行っていくうえで、低血糖は避けては通れない症状です。 しかし、その全ての患者さんが運転免許を持てないわけではありません。
免許が持てる方
低血糖を起こしても症状が軽いうちに自覚ができ、運転を中止し補食をとる事が出来る方。
血糖コントロールが可能で、運転前の糖分の摂取などにより、運転中の低血糖を未然に防ぐことが出来る方。


 しかし、このような事が出来ない方の場合、6ヶ月以内に出来るようになる見込みがあれば、長くて6ヶ月間、 免許を保留・停止をすることとなりますし、その見込みが無ければ、免許を出さないか、取り消すことになります。
運転相談窓口  これらについての判断は、各都道府県の公安委員会にて判断することになります。 場合によって、主治医の診断書が必要になる事もあります。 申請・更新の際には自分の病気の症状について正しく申告し、適正な手続きを行いましょう。
 また、各都道府県の公安委員会には運転相談窓口が設けられており、病気や障害をお持ちの方が免許を持つ事について、相談を受付けています。 免許取得に不安がある方は、申請前(できれば教習所入所前)にこの相談窓口において相談することをお勧めします。

 3、もし、事故をおこしたら・・・?
 正式な手続きを行ったうえで免許の取得・更新を行った方は、めでたく運転可能となります。
しかし、「低血糖の前兆を自覚できたのに、その時点で運転を中止せず事故を起こした」「血糖を自己コントロールできたのに、 運転前の糖分の補給を怠ったため低血糖による意識障害を起こし、事故を起こした」という場合には、刑事責任を負い、 さらに、違反行為とみなされ、免許を取り消される可能性があります。
車の運転  これは、 居眠り運転による事故(疲れていて眠い場合には運転すべきではないのに、運転して事故を起してしまった)や、 飲酒運転による事故(酒を飲んだ場合には運転すべきでないのに、 運転し事故を起してしまった)と同じ扱いを受けるという事です。


 4、運転するときに気をつける事は?
 実際に運転するときには
運転時の注意
1) 低血糖になりやすい時間帯に独りで運転することは、なるべく控える。
2) 車の運転をする時には、いつも低血糖の事を念頭において運転をする。
3) 自己血糖測定を行っている方は、運転直前に血糖値を確認し、低血糖を起しそうな場合には、糖分の補給を行い、低血糖の予防に努める。
4) 運転中に低血糖を起してしまったら、速やかに車を安全な場所へ停車し、症状の軽い段階のうちに糖分の補給を行う。
5) 車に必ず補食(ジュース、砂糖、ブドウ糖など)を常備する。

補食 以上のことに注意しましょう。
 糖尿病の患者さんのなかにも、十分な対策をとった上で、安全に運転できる方は多くいらっしゃいます。
しかしながら社会の理解が得られず、運転をとがめられてしまうケースもたびたび聞かれます。
糖尿病の患者さん一人一人が、しっかりとした自覚を持ち、十分な対策をとることが、社会の理解を得るためにも、 重大な事故を未然に防ぐためにも大切なことす。
(薬剤師、莇 由衣)
(参考資料:さかえ 2002 Vol.42 No.8)
薬剤師

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