15.「インクレチン」の作用を利用した新しい糖尿病治療薬

県立北部病院
平成22年12月

「インクレチン」の作用を利用した


新しい糖尿病治療薬


 以前から、ブドウ糖を口から摂った方が静脈に直接投与するよりも、インスリンが多く分泌されることがわかっていました。そのため、インスリン分泌の鍵は消化管にあると考えられ研究が進み、小腸から分泌される消化管ホルモンが、インスリンの分泌を促す作用を持っていることがわかりました。それが「インクレチン」です。

 「インクレチン」には、いくつか種類があり、その代表的なものとして、「GIP(ジー・アイ・ピー)」と、「GLP-1(ジー・エル・ピー・ワン)の二つが知られています。消化管に栄養素が取り込まれると、GIPとGLP-1が分泌されます。そしてすい臓のβ細胞の受容体を介してβ細胞を刺激し、インスリンの分泌を促します(下図)。この作用は、食後に血糖値が上昇した時にだけ発揮され、血糖値が低い時にはインスリンの分泌量を増やすことはありません。

 薬の開発研究の結果、GIPはあまり効果が期待できないことがわかりました。一方GLP-1は投与直後から持続的にインスリンの分泌を増加させることができたため、糖尿病治療薬として研究が進められました。
そして、このGLP-1をターゲットにした新しい糖尿病治療薬には、すい臓にあるGLP-1受容体に作用する「GLP-1受容体作動薬」と、GLP-1を分解する酵素であるDPP-4(ディ・ピー・ピー・フォー)の働きを阻害する「DPP-4阻害薬」の2種類があります。

<GLP-1受容体作動薬>

 GLP-1受容体作動薬は、すい臓のβ細胞にあるGLP-1受容体に作用し、血糖値が高い場合にインスリンを分泌させる薬です。
 GLP-1受容体作動薬は、1日1回、インスリンと同じように皮下に注射します。血糖値を下げる効果は高く、空腹時血糖値やHbA1cが改善することが報告されています。また、従来の経口糖尿病薬では体重が増加することがありましたが、この薬では変わらないか、もしくは減少の可能性が期待されています。副作用としては、胃から食物の排泄が遅れるため、便秘、悪心、下痢など消化器症状がみられることがあります。しかし、血糖値の上昇に伴いインスリンの分泌を増やす薬なので、単独で使用した場合には、低血糖のリスクが少ないと言われています(表1)

<DPP-4阻害薬>

 PP-4阻害薬はGLP-1を分解するDPP-4という酵素の働きを阻害することで、GLP-1の量を保ち、インスリン分泌を増加させる薬です。DPP-4阻害薬は、1日1-2回の内服薬です。血糖値を下げる効果により、空腹時血糖値やHbA1cを改善しますが、体重の減少は認められていません。GLP-1受容体作動薬と同様に、低血糖のリスクは少ないと言われています(表1)



糖尿病教育入院

◇県立北部病院の5階東病棟では、糖尿病教育入院を受け入れています。
◇糖尿病の患者さまが、正しい知識を習得し、自己管理ができることを目標としています。
◇糖尿病療法指導士の資格をもった看護師・コメディカルが中心になり指導を行います。

【1週間コース】主に内服治療のみの患者さま。学習しながら内服の調整を行う。
【2週間コース】インスリン(注射)導入が必要な患者さま。

プログラム内容

◇ビデオ学習 ◇血糖測定について ◇インスリン注射について

◇フットケアについて ◇薬物療法について(薬剤師) ◇栄養療法について(栄養士)




<栄養指導>管理栄養士より

食事療法の必要性
●これまでの食習慣を聞き取り、個々の問題点を一緒に確認します。
●年齢や理解力など個人に合わせた資料で指導します。
●指導は、フードモデルやイラスト、写真等を使用して行います。
●外泊前後に栄養指導を入れ、自宅でも食事療法ができるようにサポートします。

<薬剤指導>

内服薬の作用・用量、低血糖などの副作用や注意点
◇インスリン注射と内服治療薬の違い
◇インスリン注射の正しい使用方法、保管方法
◇インスリン注射を使用する患者様にやさしい注射の選択
 (経済面や使いやすい種類)

<糖尿病教室>

●日時:毎月第4水曜日 13:00〜15:40
●対象:糖尿病患者さまとその家族
<講義内容>
●医師      「糖尿病について」
●看護師    「日常生活について」
●管理栄養士 「食事療法について」
●薬剤師    「薬物療法について」
●理学療法士 「運動療法について」


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