小児内分泌・代謝内科

はじめに

内分泌臓器といえば視床下部下垂体系をはじめとして、甲状腺、副腎、性腺などが代表ですが、近年では、いろいろな臓器から新しいホルモンが発見されており、体すべてが内分泌臓器といっても過言ではなくなってきています。そして、それぞれのホルモンが生物の恒常性を保つための調節を行っています。代謝調整もその一つであり、内分泌と代謝は密接に関与し体の恒常性を理解する上で欠かせないものとなっています。これらの調節のしくみを解明し、疾病解析を行っていくのが小児内分泌代謝科の役割です。

概要

開院当初は「小児内分泌科」として「小児総合診療科」に属する分科として発足いたしましたが、2010年10月より正式に独立単科「小児内分泌・代謝科」として歩んでいくこととなりました。

診療状況

週2回(月、木)の午前午後が定期外来日です。他科との併診の小児が多いため、併診の場合は定期外来日以外でも診療を行っています。毎月200名ほどの受診があります。外来患者のほとんどは近隣の医療施設からの紹介と院内紹介で占めており、こども医療センター開設より5年間で600名以上の新規患者が受診されています。定期健診で発見される低身長などは、まず総合小児科でスクリーニング検査を行ってもらい、必要があれば小児内分泌代謝科を受診する形式をとっています。一方、各種負荷試験のほとんどを外来で行っていることもあり、新規入院患者は年10名程度で、血糖異常や副腎疾患など緊急性の高い疾患に限られています。その他、当科通院患者の感染症の際の入院対応も行っています。

診療内容

2006年4月〜2011年3月の5年間に小児内分泌代謝科に受診した約600名における疾患群別の比率です。

  • 成長障害(低身長、体重増加不良) 31%
  • 単純性肥満 4%
  • 視床下部下垂体障害 5%
  • 甲状腺疾患 19%
  • 副甲状腺疾患、Ca/P代謝異常 2%
  • 副腎疾患 2%
  • 性腺機能異常 24%
  • 性分化異常 2%
  • 糖尿病、低血糖 7%
  • その他(代謝性疾患を含む)4%

沖縄県の小児の特徴として、思春期早発症が多くなっています。

はじめに

内分泌疾患が主体であり、代謝性疾患はウイルソン病などの一部に限られています。患者比率として成長障害や思春期異常、甲状腺異常で70%ほどを占めています。沖縄県は小児肥満の比率も高いことから、肥満単独に限らず、他に疾患で治療中でも肥満傾向をみとめる子どもにたいしても肥満指導も行っています。近年問題となっている小児ガン経験者(CCS)における内分泌疾患の長期フォローも、小児血液腫瘍科との連携で行っています。また、関連疾患として夜尿症の治療も行っています。

当院には成人を担当する内分泌内科医が不在のため、高校生以上の新患も当科で担当する場合があります。また、多くの内分泌疾患は生涯にわたる管理が必要であり、小児期よりの治療継続で20歳を超えたキャリーオーバーも増えてきています。

主な検査や連携

外来における血液検査、尿検査が主体です。内分泌代謝関連は外注検査が多いため、結果には1〜2週間を要します。
内分泌関連の各種負荷試験のほとんどは外来で行い、子どもや家族の負担を軽減しています。
手のレントゲン写真より骨年齢を算出し成熟度を判定しています。
院内栄養士による栄養指導を行っています。
各種遺伝子診断は、必要に応じて専門医療機関に依頼しています。

活動

当院にて月1回、沖縄県小児内分泌勉強会として近隣の小児内分泌に携わる勤務医数名と症例検討会を行っています。
日本小児内分泌学会には毎年演題を1〜2題を発表しています。
その他の内分泌関連の学会や、各種研究会には積極的にも参加しています。

今後の展望

小児に特徴的なものが成長であるならば、その成長と密接に関係しているのが、小児内分泌代謝科です。低身長や高身長、思春期早発症や思春期遅発などの異常は、統計上、少なくとも小児のそれぞれ約2%が該当し、小児の肥満率も小学校高学年以上では10%に上ります。従って、異常とすべき事例は多いはずですが、これら成長の異常すべてが医療機関を受診するわけではありません。これらの身体発達の異常は、一般社会での疾患としての認知度はまだまだ低く、さらに各種健診でも重要視されていないのか、受診機会すら与えられない子どもが多いようです。逆に、正常発育でも周囲との違いから心配になり受診される場合も多く、子どもの成長に関して地域に広く啓蒙する必要があることを痛感しています。

内分泌疾患は、すぐに生命を脅かされることは少ないのですが、ほとんどが永続的な障害であるため、その管理は将来にわたるQOL向上には欠かすことのできません。しかし、同時に自覚症状や他覚症状が現れにくく、その分発見が遅れてしまうことがあります。小児内分泌代謝科では、子どもたちの将来を見据え、将来に影響を及ぼすさまざまな疾患の早期発見のために努めていきたいと考えています。

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