小児神経内科

はじめに

小児神経内科 大府 正治

  • 小児神経科はこどもの脳とそれにつながる脊髄・神経・筋肉などの病気を診療します。
  • 小児のいろいろな能力にかかわる重要な機能を担っていますので専門的医療が不可欠です。
  • 重症患児は小児集中治療室(PICU)スタッフのもとで連携した医療を実践しています。
  • 小児神経科はけいれん性疾患や中枢神経感染症を中心に診療をし、原因不明の病態診断にも力を注いでいます。
  • 高度の専門医療を推進することで当センターは以下の専門医研修施設に認定されました。
  1. 日本小児神経専門医研修認定施設
    登録番号5010号(2009年11月1日~2014年10月31日、2014年11月1日~2019年10月31日)
  2. 日本てんかん専門医認定研修施設
    認定番号149号 (2010年10月1日~2015年9月30日、2015年10月1日~2020年9月30日)

小児科専門医がサブスペシャリティとして神経やてんかんの専門医を取得する場合に当こども医療センターでの診療・研修・研究会参加がその受験資格の一部となります。


  • 附1)小児神経専門医制度規則
    第4条 「専門医」として学会の認定を受けるためには
    (4) 小児神経専門医研修施設および研修関連施設において5年間の所定の研修を修了していること
    第6条 前条の(1),(2)の証明として,次の各項のすべてを満たすことが必要である
    (1) 現在小児神経疾患の診療に従事し,5年以上学会の会員歴を有すること
    (2) 小児神経専門医研修施設および研修関連施設において、自ら診療に従事し到達目標にかなった小児神経疾患患者30例の症例要約と,その症例詳細報告5例を提出する.
  • 附2)てんかん専門医制度に関する規則
    第3条(申請資格)
    (1)3 年以上引き続き本学会の正会員であること
    (2)てんかん診療に従事していること
    (3)研修期間中に1回以上日本てんかん学会年次学術総会と日本てんかん学会地方会にそれそ?れ出席していること(申請書にこれらの学会の参加証のコピーを添付)
    (4)種々の病型を含む 50 例の具体的なリストおよび症例詳細記述 5 例を提出すること
    (5)てんかんの診療に関して本学会の認定した認定研修施設に所属し 3 年以上の研修歴、あるいは それに相当する研修歴があり、かつ、初期臨床研修期間あるいは基盤学会における専門医研修のた めの研修期間を含めて計 5 年以上であること
    (6)別に示す基盤となる分野の専門医あるいは認定医などを有していること

概要

診療体制

診療内容は主にてんかんや頭痛、神経・筋疾患の診断・治療、急性脳炎・脳症、脳梗塞、けいれん重積の集中治療を行っています。ERやPICUやNICUや小児血液腫瘍科・小児循環器科からの相談も数多くあります。
 沖縄県では小児神経専門医が極めて少ない中で当科は3名全員が小児神経専門医であり他院からのセカンドオピニオンも多く見えます。

外来診療表
午前


松岡剛
比屋根真彦
松岡剛

午後 比屋根真彦
比屋根真彦
大府正治
大府正治
大府正治
松岡剛

大府正治

15分コマです。新患は2コマをあてますがオーバーすることも多々あります。

診療スタッフ:大府正治・松岡剛司・比屋根真彦が診療を担当します。(図1)

図1)スタッフのスナップ(左から 松岡剛司、大府正治、比屋根真彦)

大府正治(おおふまさはる)
 私は福岡大学小児科で満留昭久教授を師として長らく脳波・誘発電位研究を行い、2008年より沖縄で前任の島袋智志から当センターの神経を引き継ぎました。沖縄の小児神経学の発展を目指し沖縄に多くの小児神経専門医が増えることを願って研鑽を積み重ねています。どうぞご支援をお願い申し上げます。

表2)所属学会と資格
学会名 資格・活動 年度
・福岡大学 医学博士 1989~
・日本小児科学会 専門医 1989~
・日本小児神経学会 専門医 1992~
・日本てんかん学会 専門医 2000~
・日本臨床神経生理学会 専門医(脳波) 2007~
・日本小児神経学会 評議員 1995~2017
・日本臨床神経生理学会 評議員 200~2017
・日本小児神経学会 教育委員 2003~2008
・日本小児神経学会 アーカイブ小委員 2004~2017
・日本臨床神経生理学会 広報委員 2007~2016
・日本小児神経学会九州地方会 世話人 1995~2017
・小児脳機能研究会 世話人 1989~2017
・沖縄小児神経研究会 世話人 2008~2017
・てんかん治療研究振興財団 研究助成選考委員 2012~2014
・沖縄てんかん研究会 世話人・事務局用 2013~2017
・日本てんかん学会 評議員 2013~2017
  
松岡剛司(まつおかつよし)
2002年 自治医科大学医学科卒業
2002年 香川県立中央病院にて初期研修
2004年 沖縄県立中部病院にて離島派遣前研修
2005年 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター付属北大東診療所勤務
2007年 香川県土庄町国民健康保険 土庄中央病院 小児科勤務
2009年 岡山大学医学部付属病院 小児神経科にて外来研修
2010年 香川大学医学部総合周産期母子医療センター新生児部勤務
2011年 現職
2015年から4か月間、都立小児総合医療センター児童思春期精神科にて短期レジデント
《取得》
2002年 医師免許
2009年 小児科専門医
2015年 小児神経専門医、小児精神神経学会認定医
2016年 子どものこころ専門医
《所属学会》
日本小児科学会、および沖縄小児科学会
日本小児神経学会
日本てんかん学会
日本小児心身医学会
日本小児精神神経学会
《専門分野》
小児一般、小児神経、発達障害、心身症
《コメント》
 私は岡山大学小児神経科外来での研修を終え、小児科専門医および小児神経専門医資格を得ました。またこころ科として、子どものこころ専門医、小児精神神経学会認定医でもあります。一般的な小児神経疾患のほかに、臨床心理士と協力して、発達障害や不登校、摂食障害など、こころや行動に問題を抱えた子供たちのケアも行っています。
  
比屋根真彦(ひやねまさと)
2005年 琉球大学医学部卒業
2005年 豊見城中央病院にて初期研修
2007年 沖縄県立南部医療センター・こども医療センターにて後期研修
2009年 沖縄県立中部病院小児科勤務
2010年 国立精神神経医療研究センター勤務
2012年 現職(NICU1年を経て)
《取得》
2005年 医師免許
2010年 小児科専門医
2015年 小児神経専門医
《所属学会》
日本小児科学会
日本小児神経学会
日本てんかん学会
《専門分野》
小児一般、小児神経
《コメント》
 私は当センターで後期研修および中部病院勤務後は国立精神神経センターで専門領域を学びました。小児科専門医および小児神経専門医資格を得ました。中枢神経、末梢神経、筋疾患、小児てんかんなどの診療を行っています。

設備

 CT、MRI(フィリップス社製1.5テスラ)は拡散強調画像(図2)やMRアンギオが可能で梗塞や脳症の早期診断に有用です。RI(脳血流シンチSPECT)検査では脳循環の評価が可能です。神経生理機能検査は誘発電位、神経伝導速度、デジタル脳波計を行います。脳波はてんかん診療には不可欠で日本光電社製のビュアーにより迅速に判読が可能です。
脳波解析ソフトFOCUSで電位マップ(図3)や周波数解析表示することでてんかん波形の分布を3Dモデルで表せますので素人の方でも容易に理解できます。脳波ビデオ同時撮影をしていますので動作が病的か生理的なものかの区別も容易です。
 判読は医局に1台、外来に2台のビュアーがありここで脳波判読をします。したがって紙での判読は行っておらず全てペーパーレスです。誘発電位は視覚(パターンリバーサル、フラッシュゴーグル)聴覚、体性感覚誘発電位が可能です。筋電図は伝導速度、F波、疲労試験など神経筋疾患の診断に不可欠です。有料の「医師のための筋電図・神経筋電気診断セミナー」にもスタッフ3名全員が受講しスキルを磨いています。


  • 拡散強調画像MRI

    図2)MRI(拡散強調画像DWI)

  • デジタル脳波と3Dマップ

    図3)デジタル脳波と3Dマップ


研究会

沖縄小児神経研究会

 これまで沖縄南部療育医療センター(旧 整肢療護園)で不定期に開催されていた会を第31回から平成20(2008)年9月16日より当こども医療センターで隔月(奇数月の第3火曜日19:00?21:00)開催しています。様々な症例をもちより神経疾患の知識を共有し常にアップグレイドしています。平成22(2010)年から年に数回特別講演会(表3)を企画し全国の著名なトップランナーを招聘し知識を高めています。こうして経験の浅い医師・研修医の養成を兼ねています。

平成29(2017)年2月3日で通算100回を数える研究会となっています。

  • ・日本小児科学会専門医指定研究会(平成21年5月~)。小児科専門医が参加で2単位
  • ・日本小児神経学会専門医指定研究会(平成22年5月~)。小児神経専門医が参加で2単位
  • ・この専門医単位認定は九州ブロックでは福岡小児神経研究会と沖縄小児神経研究会のみです。沖縄に多くの小児神経専門医が誕生するきっかけとなる場と考えています。
日時 特別公演テーマ 演者 所属
2010/6/25 42 けいれん・てんかんの初期対応 浜野晋一郎 埼玉県立MC
2011/3/4 47 脳炎・脳症の病態と自己免疫 高橋幸利 静岡てんかんC
2011/12/9 53 臨床に役立つ遺伝性筋疾患 埜中征哉 国立精神神経C
2012/6/5 57 ペアレントトレーニングのABC 医療から家庭と学校へ 岩坂英巳 奈良教育大学
2012/7/13 58 非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)のABC 石川悠加 国立八雲病院
2013/6/8 65 発達障害の子どもたちの理解と支援-多職種連携 小野次朗 和歌山大学
2014/2/28 70 ADHDの包括的治療法-薬物療法と心理社会的療法 山下裕史朗 久留米大学
2014/7/4 73 急性脳症の臨床と画像up to date 高梨潤一 八千代医療C
2014/9/9 75 沖縄の小児もやもや病の臨床・治療・予後 長嶺智明 当C 脳外科
2015/2/21 78 自閉症スペクトラム症児の早期診断と対応へ 永井利三郎 大阪大学
2015/6/26 81 小児けいれん重積 up to date 須貝研司 国立精神神経C
2015/9/15 84 沖縄県における脳性麻痺治療戦略 粟国敦男 当C 整形外科
2015/11/13 85 ギラン・バレー症候群2015 up to date 桑原 聡 千葉大学神内
2015/12/11 86 神経型ゴーシェ病 up to date 成田 綾 鳥取大学
2016/3/31 91 ゴーシェ病の進歩 Ari Zimmran ゴーシェclinic
2016/7/1 94 片頭痛 up to date 藤田三江 筑波学園病院
2016/11/25 98 小児神経の救急 目で見る脊髄・末梢神経の救急 藤井克典 千葉大学小
2017/2/3 100 発達障害医療のエッセンス 小枝達也 成育医療C
表3)沖縄小児神経研究会特別講演会

沖縄小児脳波道場

 平成22(2010)年4月から脳波道場を当こども医療センターで不定期に主催しています。脳波判読はけいれんや意識障害の患児を適切に治療していくときに欠かせないスキルです。系統的に教育を受ける機会が減ったため脳波判読可能な医師は激減し絶滅?が危惧されています。研修医や新進の小児科医を対象にし、九州大学脳研生理主催の臨床神経生理研究会での教育内容をベースに独自の小児科ヴァージョンにした講座を設けています。同時に脳波検査を行いその判読を医局の脳波ビュアー画像端末を用いマンツーマンで指導して日々の診療に反映させています。従来のような重たくかさばる脳波記録は存在しません。

沖縄てんかん研究会

 平成25(2013)年6月7日から沖縄の精神科、脳外科、神経内科、小児科の4科がてんかんをキーワードに集結し理解を深めようと発足しました。平成29(2017)年2月17日で通算12回を数える研究会となっています。 発足より年に数回特別講演会(表4)を企画し全国からてんかん学会理事や理事長など著名なトップランナーを招聘し知識レベルを高めています。

日時 特別公演テーマ 演者 所属
2013/10/26 2 てんかん医療の展望 兼子 直 北東北てんかんC
2014/6/20 4 小児てんかん診療におけるキャリーオーバー 久保田英幹 静岡てんかんC
2014/11/7 5 てんかん診療ネットワークと小児てんかん外科治療 大槻泰介 国立精神神経C
2015/2/13 6 てんかんの精神症状 松浦雅人 田崎病院
2015/7/31 7 新規薬の単剤療法と臨床生理学的biomarker 池田昭夫 京都大学
2016/2/5 9 進歩するてんかん診療 亀山茂樹 西新潟てんかん
2016/7/15 10 小児のてんかん よりよい包括医療を求めて 大澤真木子 東京女子医大
2016/11/4 11 てんかんをめぐる最近の話題 井上有史 静岡てんかんC
2017/2/17 12 成人脳波判読のpitfalls 飛松省三 九州大学
表4)沖縄てんかん研究会特別講演会

 当センターは日本てんかん学会認定の専門医研修施設に認定されていますので、当センター主催の研究会である沖縄小児脳波道場、沖縄小児てんかん研究会に参加することによりてんかん専門医受験資格を取得可能です。