診療内容

  • 主な対象疾患
  • 運動器疾患:大腿骨折近位部骨折や下腿骨折・上肢骨折・脊椎骨折等
  • 脳血管疾患:脳卒中・中枢神経疾患・神経筋疾患・高次脳機能障害等
  • 呼吸器疾患:肺炎・無気肺・肺膿瘍・慢性閉塞性肺疾患・気管支喘息等
  • 廃用症候群:一定程度以上の基本的応用的動作・日常生活の機能低下または嚥下機能の低下を来している方
【施設基準】
  • 脳血管リハビリテーション(Ⅰ)
  • 運動器リハビリテーション(Ⅰ)
  • 呼吸器リハビリテーション(Ⅰ)
  • 廃用症候群リハビリテーション(Ⅰ)

理学療法(PT)

人の起居動作から歩行までの動作で「できない(実用性でない)」動作を『運動学』『解剖学』『生理学』的に分析し骨関節・筋肉・神経・心肺機能等の原因を見つけ具体的な治療プログラムを身体・精神・環境面から立案・実施しています。

作業療法(OT)

日常生活の様々な動作・作業を運動機能面、知的機能面から分析し、動作・作業を通して機能回復を図ります。また、外傷後の肩・腕や手指のリハビリ、社会復帰に向けての職業関連動作の専門家でもあります。さらに、「高次脳機能障害のリハビリ」を言語聴覚士や理学療法士と共に行います。

言語聴覚(ST)

ことばによるコミュニケーションは言語、聴覚、発声・発音、認知などの各機能が関係していますが、病気や交通事故、発達上の問題などでこのような機能が損なわれることがあります。言語聴覚士はことばによるコミュニケーションに問題がある方に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築できるように支援する専門職です。また、摂食・嚥下の問題にも専門的に対応します。

当院の特色・活動内容

早期リハビリテーション

当院の急性期病院としてのリハビリテーションの役割は、入院患者様の寝たきり予防、日常生活動作(以下Activities of Daily Living:ADL)の自立度を高めることです。そのため入院患者様に共通するのは入院早期からのリハビリテーションの介入が重要になります。 高齢化社会がすすみ、入院前よりADLの低下がみられる患者様が多く、病気や怪我による治療と並行して筋力低下や認知機能低下(廃用)の進行予防が予後を左右します。 平成30年4月からICUでも入院後早期にリハビリすることが認められ診療酬が改定されました。当院では平日に多職種協働によるICUカンファレンスを実施し、安静や鎮静レベルに応じて確かなリスク管理の下で積極的な早期離床を実施しており、それが身体機能だけでなく認知機能低下を予防し退院後の自立度の高い生活につながると考えています。

地域包括ケア病棟

急性期治療を終え、病状が安定したがすぐに在宅復帰・施設復帰するには不安がある患者様に対して、復帰に向けた診療、看護とともにリハビリテーションを行い、安心して退院いただけるように支援する病棟です。

カンファレンス(ICU、地域包括ケア、整形外科、内科、循環器内科)

現在、ICUでの合同カンファレンス以外に定期的に行われているのは整形外科、内科、循環器内科になります。最善の治療のために情報を共有し、チームアプローチを高めるためリハビリチームだけでなく、他職種協働による各診療科や病棟とのカンファレンスに積極的に参加しています。 私たちは、チームの一員として地域の皆さんが住み慣れた場所で長く安心して生き生きとした生活を送っていただけるよう力を合わせて取り組んでいきます。チームに加え患者様本人の意欲とご家族の支えが大切になります。ご協力よろしくお願いします。

スタッフ紹介

医師1人、理学療法士(PT)9名、作業療法士(OT)4名、言語聴覚士(ST)3人、リハビリ助手2名の合計18名です。3学会合同呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士等の資格を取得したスタッフもおり、日々の診療に生かせる様、努めています。

リハビリテーション室で働く


理学療法士 :運動やトレーニングで機能回復をめざすリハビリのスペシャリストです。
作業療法士:日常生活動作の改善や仕事、家事、趣味活動につなげるリハビリのスペシャリストです。
言語聴覚士:話す・聞く・食べるに関するリハビリのスペシャリストです。

それぞれの資格の専門養成施設(リハビリテーション専門学校、大学のリハビリテーション学部、医療福祉系短期大学リハビリテーション学部等)で3年以上学び、国家試験の受験資格を得て、国家試験に合格する必要があります。
北部病院で働く理学療法士、作業療法士、言語聴覚士に学生時代のことを聞いてみました。

問1)皆さんは、どのような学校に通いましたか?
理学療法士
県外の4年制大学の理学療法学科に通いました。県内には理学療法士を目指す専門学校は3か所あります。
作業療法士
県内の4年制リハビリテーション福祉学院の夜間部に通いました。
言語聴覚士
関東にある医学技術専門学校の言語聴覚学科昼間部に3年間通いました。医療系大学や短大に進学する人もいます。
問2)どのようなことを学びますか?
理学療法士
筋肉や骨など身体の仕組みを主に学びます。寝返りや起き上がり、歩行など動作について、脚や腕が切断された方に使用する義肢について、体が不自由な方が使用する車いすなどの福祉機器についての講義もあります。他には動作解析などの研究や、筋力や関節の動く範囲を検査するような実習も行います。学校以外の活動として病院や施設で実習をしました。
作業療法士
理学療法士と同様に身体の基本的なことはもちろんですが、入浴や料理など生活に必要となる動作を学びます。高齢者や病気で体が不自由になった方が、生活しやすいようにするにはどうしたらよいかも学びます。例えばトイレに入るときの手すりの位置を考える、着替えの時に使えそうな道具を工夫するなどです。
言語聴覚士
言語機能(話すこと)や聴覚機能(聞くこと)、嚥下機能(食べること)に加え『記憶する』『考える』『感情をコントロールする』など日常生活に必要な脳の働きも学びます。コミュニケーションにかかわること全般を学んでいます。
問3)学校生活はどうでしたか?
理学療法士
勉強以外にサッカーやバレーボールなどサークル活動や学園祭もあり楽しめました。学校に最新設備が入ったときにプロ野球選手が使用することになり見学する機会もありました。また、有名な先生方の講演会もあり、刺激になりました。
作業療法士
現役生もいましたが、就職して働いていた経験がある先輩もいたので、社会人としての行動などを教えてもらう機会もあり勉強になりました。学園祭でTシャツを販売したこともあります。地域の方とつながりができて楽しかったです。また同じ学校内に理学療法士学科や言語聴覚士学科がある場合は一緒に学ぶ機会もあります。
言語聴覚士
学ぶことが多くて課題に追われて大変なこともあります。コミュニケーションの授業の中で演劇をしたことも思い出になっています。脳の障害によって言葉がうまく話せない、うまく聞けないといった症状がある方々の集まりにボランティアで参加する機会があり、言語聴覚士を目指す上で役に立ったと思います。
問4)実習はどうでしたか?
理学療法士
最終学年では県内と県外の2か所の病院で合計4か月実習させていただきました。他にも1~2週間の病院見学や検査測定実習がありました。検査測定実習では実際に患者さんの筋力や関節の角度を測定します。 長期の実習では検査測定のほかに寝返りや起き上がり、歩行などの動作を分析し、治療プログラムを作ります。学校内で教員や学生相手に検査測定や動作分析の練習は行っていましたが、実際に患者さんを目の前にすると緊張しました。
作業療法士
2か月の実習は県外の一般病院と県内の精神科病院で行いました。精神科病院での実習では祭りなどのイベント参加や買い物訓練など一般病院ではなかなかできない経験ができました。
言語聴覚士
一般病院と小児施設に行きました。病院と施設では病気の特徴や年齢も異なるため、対応が難しかったです。また、本の中で学んだこととは違っていることも多く最初は混乱しました。
問5)現在北部病院で働いていますが、感想などを聞かせてください。
理学療法士
地域の特徴で、高齢者が多い印象です。一人暮らしの方も多いのですが、入院してもできるだけ体力を落とさず退院していただけるようにしていきたいです。
作業療法士
自動車運転再開のアドバイスを行ったり、趣味活動を利用して認知症の予防を行ったりしています。できるだけ元の生活に戻っていただけるよう頑張っていきたいと思います。
言語聴覚士
高齢化にともない病気以外でも飲み込みが難しくなっている方もいます。 入院前の食事ができるよう対応していきたいです。